乾燥工程とは何か
一般的に「乾燥」という工程は、比較的少量の水などの液体を含む材料に熱エネルギーを与え、液体を蒸発させて除去することで、乾いた製品を得る操作を指します。
これを木質チップの乾燥で考えると、チップに含まれる液体の水に熱を与えて蒸発させるということになります。水を蒸発させるために必要なエネルギー量は決まっており、例えば20℃の水1kgを蒸発させるためには、2.453MJの熱量が必要です。
しかし、実際には放熱によるロスや、木質チップ自体を温めるためにも熱が使われます。そのため、乾燥に必要となる熱エネルギーは、理論値よりも大きくなるのが実情です。そこで、熱エネルギーをなるべく効率よく乾燥に使うことや、手に入りやすい安価なエネルギーを活用することが求められます。
実際の乾燥現場では、熱エネルギーを木質チップに与える際の条件として、以下のような要素が挙げられます。
- 温度: 外気温度、チップ温度
- 湿度: 外気湿度
- 風量: 温風乾燥の場合など


| 温 度 | [℃] | 0 | 20 | 40 | 60 | 80 | 100 |
| [K] | 273 | 293 | 313 | 333 | 353 | 373 | |
| 水1kgの蒸発に必要なエネルギー[MJ] | 2.500 | 2.453 | 2.405 | 2.357 | 2.307 | 2.256 | |
乾燥の方法・技術
乾燥工程の大きな特徴は、樹木を伐採してから燃料として利用されるまでの間の、さまざまな段階で実施できる点にあります。具体的には、立ち木状態での「樹皮剥き乾燥」、伐倒後の「葉枯らし乾燥」、丸太状態での乾燥、そしてチップ状態での乾燥などがあります。また、高水分対応のボイラであれば、炉内で乾燥させながら燃焼させているとも言えるでしょう。
乾燥技術は、大きく「自然乾燥」と「人工乾燥」の2つに区分されます。
『自然乾燥』
自然乾燥は、丸太やチップの状態で屋外に保管する方法です 。気象条件に左右されることや、比較的広い敷地が必要になるといった留意点はありますが、風や日射などの自然エネルギーを用いるため、最も簡便な方法と言えます。まずはこの方法から検討するのが基本となるでしょう。
特に丸太状態での乾燥は、チップ状態のように発酵が進む可能性も低いため、取り組みやすいのがメリットです。丸太乾燥を成功させるポイントとしては、以下の点が挙げられます。
- 日照条件の良い場所を選ぶこと
- 風向に対して木口(切り口)を曝すこと
- 土壌からの吸水を避けるため、コンクリート舗装の上や、浮かした状態で置くこと
条件や樹種にもよりますが、数ヶ月から1年ほどで水分は30%W.B.まで低下するという報告が多くなされています。
『人工乾燥』
一方で、季節や立地、あるいは使用する燃焼機器によって求められる乾燥度合いが異なるため、自然乾燥だけでは対応しきれないケースもあります 。その場合に有効なのが「人工乾燥」です。
人工乾燥は人工的に熱エネルギーを与える方式で、規模も大小さまざまです。ドラム・ドライヤー方式、低温ベルト・ドライヤー方式、コンテナやチップ倉庫を用いた固定方式など、多様な種類が存在します。

乾燥を検討する際のポイント
木質燃料の乾燥を検討する際は、「どの段階でどの乾燥方法を選択するのか」を整理することが重要です。特に、人工乾燥を行う場合でも、自然乾燥と組み合わせることが望ましいと考えられます。
《検討時のチェック項目》
- 水分目標: 開始前の水分と、目標とする水分(何%から何%にしたいか)
- 処理量 : どのくらいの量(㎥やt)を乾燥させたいか
- 対象物の性状: 切削か破砕か、樹皮は含まれるか
- 立地条件: 気象条件や敷地面積など
- 熱源 : 利用できる乾燥用熱源があるか
ドイツの事例(91事業者へのアンケート)では、100kW未満の小規模ボイラ向けには、人工乾燥や丸太での自然乾燥が多く取り入れられています。一方、より大きな出力(100~1000kW)では、高水分でも燃焼可能なボイラがあるため、乾燥させずに利用するケースも見られます。
このように、燃焼設備に適合した「木質チップのラインナップ」を複数持つことで、地域における木質バイオマス利用の促進に寄与できるという点は、日本の現場でも大いに参考にしたいポイントです。


