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【連載:発酵熱乾燥のいろいろ】第10回:乾燥効率を向上させる「チップ山の形」とサイズの設計

2026年8月28日

同じチップでも「形」で差がつく

これまで、チップの種類やC/N比が乾燥効率を左右することを見てきました。しかし現場で同じくらい重要なのが、チップを「どう積むか」という堆積形状の設計です。同じ原料・同じシートを使っても、山の形やサイズによって乾燥の進み方は変わります。今回は、実証データをもとに「形」と「サイズ」の考え方を整理します。

なぜ形状が乾燥を左右するのか

発酵熱乾燥では、内部で発生した湿気を含む空気が上昇し、透湿防水シートを通して外へ抜けていきます。この自然な空気の流れを妨げないことが、形状設計の基本です。

ここで問題になるのが、山の上面が平らな「台形」の場合です。R4年度の試験では、シートを使っていても上面が平らだとチップ上部の水分が上昇してしまう現象が確認されました。平らな面では湿気を含んだ空気が滞留しやすく、シート表面に結露した水分がチップに戻ってしまうためと考えられます。

裏を返せば、シートに傾斜をつけて湿気と雨水をスムーズに流すことが、形状設計の鍵になるということです。

台形でも「シートに角度」をつければ乾く

この点を検証したのが、厚真町のF山とG山の比較です。

  • F山:三角形のチップ山にシートを掛けたもの
  • G山:台形のチップ山に、塩ビ管を入れてシートを三角形(約15°)に持ち上げたもの

結果は、両者ともに上部・中間部で水分の減少が確認され、特に塩ビ管を入れたG山は上部が最もよく乾燥しました。チップ山そのものは台形であっても、シートに角度をつけることで含水率の減少が期待できるとわかったのです。

これは実務上、大きな意味を持ちます。重機で台形に積む事業者は多いですが、塩ビ管などでシートに傾斜を持たせるだけで、三角形に積むのと同様の効果を得られるからです。

サイズ設計と処理量の見通し

形状とあわせて検討したいのがサイズです。試験では高さ2m前後の山を基本としていますが、事業規模に応じて高さ3m・4mといった大型の山も想定されています。

例えば幅6m×長さ50m×高さ3mの山であれば1パイルあたり約424㎥、幅8m×高さ4mなら約710㎥が見込まれます。大型化は処理効率を高めますが、その分シートの掛けはがしや内部への通気には配慮が必要です。

まとめと次回の予告

チップ山の形状設計のポイントは、「シートに傾斜をつけ、湿気と雨水を流す」という一点に集約されます。台形であっても塩ビ管などで角度を確保すれば乾燥は進み、現場の取り回しと乾燥効率を両立できます。サイズは事業規模と処理量の見通しから設計するとよいでしょう。

次回は「材料別の適性」と題し、針葉樹・広葉樹、全幹・全木・枝条といった原料の違いが、本手法への向き不向きにどう影響するのかを掘り下げます。

※本記事は、令和3~5年度 林野庁補助事業「地域内エコシステム」技術開発・実証事業の成果報告に基づき構成されています。

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