炭作りにおける「加熱方法」と「運用方式」の違い
前回(第1回)は、剪定枝や農業残渣といった未利用バイオマスの処理課題と、それらを価値ある「バイオ炭」へと変換する炭化装置「未来ロケットカーボナイザー」の概要についてご紹介しました。
≫ 『第1回:【概要編】地域バイオマスの有効利用における「炭化」の課題と、新しい炭化装置』を振り返る
地域資源の循環に向けて、いざ炭化事業を始めようとしたときハードルの一つとなるのが「安定して均質な炭を製造できるか」という点です。
第2回となる今回は、炭化装置の仕組みである「内熱方式」と「外熱方式」、そして運用スタイルを左右する「バッチ式」と「連続式」の違いを比較しながら、本製品がどのように事業化のハードルを克服しているのかを詳しく解説します。
「内熱方式」の特徴と運用上のハードル
古くからある炭焼き窯や一部の炭化器で採用されているのが、「内熱方式(直接燃焼方式)」です。炭材の一部を直接燃やし、その熱で全体の炭化を進めます。この方式は熱効率が良いというメリットがある一方で、企業や自治体が事業として運用するには、以下のようなハードルが存在します。
- 燃焼コントロールの難しさ
炉の内部に直接火を入れるため、空気の供給量や火加減の調整を誤ると、過燃焼を起こして炭材が炭を通り越して灰になってしまうというリスクが伴います。
- 熟練の経験と技術が必要
気候や外気温、原料の水分に合わせて、窯の吸排気口を微調整するには長年の経験が必要です。マニュアル化が難しく、職人の技術頼りになり、属人化しやすい特性があります。
- 品質の均一化
窯の内部で熱の対流にムラが生じやすいため、ある一部は燃え尽きているにもかかわらず、ある一部は加熱不足というように、製造される炭の品質を一定に保つことが難しい側面があります。
「外熱方式」を採用した「未来ロケットカーボナイザー」
これに対し、「未来ロケットカーボナイザー」は、炭材を直接燃やさない「外熱方式(間接加熱方式)」を採用しています。
「燃焼室(ロケットストーブ)」と炭材を投入する「炭化室」が分かれており、間接的に熱を加えて温度を上昇させ、材料を「熱分解」させます。この構造により、以下のようなメリットが生まれます。
- 失敗しない炭づくりの実現
炭化室には火を入れないため、炭材が燃え尽きて灰になるリスクが解消されます。
- 誰でも簡単に製炭できる
職人のような技術や経験は不要です。設置されている温度計を確認しながら燃焼材を投入することで、誰でも簡単に炭作りができます。万が一、未炭の材が残った場合でも、再度火を入れ炭化させることが可能です。
- 自然消火と安全性
炭化が進むと炭材から発生する「木ガス」を装置内で燃焼させて熱源とします。炭化が完了すると、木ガスの発生が止まるため、装置は自然に消火します。従来のように「窯止め」のタイミングを計る難しさや、火の消し忘れリスクが軽減されます。

バッチ式と連続式
炭化装置を導入する際、構造と並んで重要となるのが処理の運用方式です。炭化装置には大きく分けて、材料を投入し続ける「連続式」と、1回ごとに材料を入れ替える「バッチ式」の2種類があります。
大型プラントに多い連続式は、大規模な処理に向く一方で、数億円規模の莫大な初期投資や、装置へ搬送するために原料を細かく破砕する「前処理」が必要となり、原料に対する柔軟性がやや低いといったハードルがあります。
一方、未来ロケットカーボナイザーが採用している「バッチ式」は、1回ごとに処理が完結する方式です。一度の処理量は連続式に劣りますが、発生時期や量がバラバラになりがちな剪定枝、竹、農業残渣など、地域の多品種のバイオマスを処理できます。初期投資を抑え、人手や予算の限られた自治体や民間企業が現場主導でコンパクトに資源循環を始めるには、バッチ式が適していると言えます。

まとめと次回の予告
高品質な炭を作る「外熱方式」と、多品種の原料に対応できる「バッチ式」を組み合わせた「未来ロケットカーボナイザー」は、従来の炭化装置が抱えていた技術的・資金的なハードルを引き下げた製品です。地域で発生する未利用バイオマスを、バイオ炭へと変換できるコンパクトな資源循環の仕組みとして、人材や予算が限られるなかでも取り組みやすい炭化事業の形といえます。
次回、第3回は『【実務編】未来ロケットカーボナイザーの運用方法』です。本製品の運用方法について、注意点も交えながら解説します。
≫ 第3回【実務編】未来ロケットカーボナイザーの運用方法を読む

