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【連載:未来ロケットカーボナイザー】第6回:材料の炭化プロセス

2026年9月10日

装置の内部で起こっていること

前回は、煙の発生を抑え、高効率な製炭に欠かせない「事前乾燥」の重要性と、それを支える弊社の乾燥ソリューションについて解説しました。含水率を15%以下までに乾燥させることが、本装置の性能を最大限に活かすためのポイントです。

≫ 『第5回:製炭の効率に直結する「事前の乾燥」とそのソリューション』を振り返る

では、十分に乾燥した材料を未来ロケットカーボナイザーの炭化室に投入し、点火したあと、装置の内部では何が起きているのでしょうか。今回は、炭化プロセスを温度帯ごとに分解し、材料がバイオ炭へと変化する科学的なメカニズムについて解説します。

炭化プロセスの3つのステージ

ロケットストーブで発生した熱が炭化室を間接的に温め始めると、内部の材料は温度の上昇とともに、大きく3つのステージを経て炭化していきます。

  • 1.乾燥段階(常温〜約200℃)
    投入直後の材料は、熱を吸収しながら残った水分を追い出す「最終乾燥」の段階に入ります。事前に含水率15%以下まで乾燥させていても、植物の細胞内にはわずかな水分が残っています。この温度帯では、まずその水分が完全に蒸発し、水蒸気として排出されます。約1~2時間が目安で、乾燥が不十分な材料を投入してしまうと、この時間が長くなります。
  • 2.木ガス化(約150℃〜500℃)
    水分の抜けた植物の分子構造が熱に耐えきれなくなり、いよいよ「熱分解」が始まります。このとき、材料から可燃性の「木ガス」が噴き出します。
    第4回で解説した通り、この木ガスがロケットストーブへと誘導されて二次燃焼を起こすことで、炭化室内の温度を上昇させ、外部からの燃焼材の投入量を抑えることができます。
  • 3.熱分解(約350℃〜500℃以上)
    材料の分解が進み、水分やガス、液体成分(木酢液の原料)がほぼすべて放出されると、「炭素」が強固に結びついた状態である「炭」が生成されます。ガスの発生が収まると、装置は自然に消火へと向かいます。これで製炭作業は終了です。(詳しい製炭手順はこちらをご覧ください。)

所要時間は木材の種類・含水率・ロケットカーボナイザーの容量により異なります。以下は目安です。

  • 1,200L:5-8時間
  • 3,000L:6-10時間
  • 5,000L:8-15時間

バイオ炭の定義:「350℃以上」

脱炭素社会の切り札として世界中から注目されている「バイオ炭」ですが、実はどのような炭でも環境価値が認められるわけではありません。国連のIPCC(気候変動に関する政府間パネル)が発行した「2019年改良版ガイドライン」において、バイオ炭は次のように定義されています。

「燃焼しない水準に管理された酸素濃度の下、350℃超の温度でバイオマスを加熱して作られる固形物」

この定義は農林水産省の資料やJ-クレジット制度の方法論「AG-004 バイオ炭の農地施用」にもそのまま採用されており、環境価値化の前提条件となっています。

  • J-クレジット(炭素貯留)への適合性
    350℃以上の高温下で作られたバイオ炭は、100年後にも相当量の炭素が土壌中に残存すると評価され、クレジットの算定が可能になります。CO2貯留量は「投入バイオ炭の重量 × 炭素含有率× 100年後の炭素残存率× 44/12」で算出され、環境価値化への道が開けます。
  • 多孔質構造の形成
    350℃を越えて熱分解させることで、材料からガスや液体成分が綺麗に抜け、バイオ炭の内部には無数の微細な「穴」が形成されます。この多孔質構造が土壌の透水性・通気性・保水性を向上させ、土壌施用時には微生物の住みかとしても機能します。
炭断面拡大図(×1000)リンゴ剪定枝
  • タール分の低減
    350℃以上の高温域で処理することで、作物の生育を阻害する原因となる未分解の油分やタール分を大幅に低減し、純度の高い炭を製造できます。

まとめ

バイオマス原料は、温度上昇に伴う3つの炭化プロセスを経てバイオ炭へと変化します。未来ロケットカーボナイザーでは、350℃以上の温度帯で製炭できるため、IPCCが定義する「350℃超」という条件を満たしたバイオ炭が得られ、Jクレジット制度の活用や、炭素貯留効果などの環境価値を創出することが可能です。

次回予告

今回は、炭化炉内で材料が段階的にバイオ炭へと変化していく炭化プロセスと、350℃以上の定義を満たす品質のメリットについて解説しました。
次回、第7回は、この炭化プロセスの過程で、煙を吸着・冷却することで副産物として回収される木酢液について詳しく解説します。

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